千代田区を舞台とした学生設計展|JIA関東甲信越支部 千代田地域会

2022年度出展作品

たゆたう
[大学課題設計]

作品概要

本、言葉、文字、しゃべり声、表情。神保町を沢山の情報が満たしている。古いものと新しいものが混ざり合い、区別できないほどである。ぱっと手放した紙のように方向も速さも異なるまま、ただ同じ街に在る。宙を舞う紙は地面につく少し前、速度を落として風と遊び、揺蕩う。賑やかな外から一歩内へ、神保町を訪れた人々がたっぷりと過ごす場を考える。

敷地は靖国通りと白山通りの交わるところに位置する。南側には神保町特有の細い路地があり、駐車場の古本市やカレー店の行列など人々の振る舞いは実に多様だ。本案では、30m×20mほど(文庫本の200倍の長さ)の面を3枚、それぞれ敷地線に合わせた角度に振り、これを重ねて1フロアとしている。空気的に一繋がりであるものの、家具スケールの段差とスロープが場面を切り替え、場にあった振る舞いを促す。色々なポーズで仕事をこなす姿は、街の様子と重なっていく。

1階のブックカフェには、花が並ぶ棚を設えている。周辺の花屋で発生したロスを読書やコーヒーのお供に、活用していく。スラブには僅かな窪みがあり、そこには雨や土が溜まる。屋上緑化や街路樹は、大きな力で環境改善を進めてくれるが、その反面、自然は徐々に遠い存在となってしまう。建築から一輪の花をもって、或いは花束を抱えて、街に出ていく姿を想像してみてほしい。小さな緑や色とりどりの花が街から街へ揺らめいているだろう。

対象地域:
神⽥神保町1丁⽬

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