千代田区を舞台とした学生設計展|JIA関東甲信越支部 千代田地域会

2022年度出展作品

窓と時間に囲まれて
[大学課題設計]

作品概要

靖国通りと白山通りが交差するエリアの一角にスモールオフィスを設計した。ビルは自身の形態を強く主張する一方で、神保町は静かに賑わう街である。周辺に比べて大きな建物である以上、表層的な調和を図るのではなく、都市の無意識と住民の無意識の媒介者となるべきだと考えた。RCの構造躯体を利用し、家具スケールの仕掛けを伴ったファサードを構成する。オフィスワークを支える機能を持ちつつ簡素な表象性を持ち合わせるデザインが神保町の町並みとの調和を図る。また、今回の敷地は、川と緑に囲まれ、高い地形に挟まれており、建物に南北からの風が吹き、車通りと人通りが多く、様々な音がする場所でもある。これらの外部環境を常に遮断するのではなく、時折窓を開ければ、外気を取り込むことが出来るビルとした。
多くの現代のビルは竣工直が最も美しく、時間の経過とともにその美しさは失われるが、神保町は時間が育てた街である。そこで時間を許容するビルが神保町にふさわしいと考え、外壁塗装はモルタル仕上げとした。苔が生え、ひびが入り、徐々に外壁は衰えてゆき、塗り直しをしなくてはならなくなった時に初めて、このビルは完成し、神保町の町並みを継承する。

対象地域:
神田神保町1丁目

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