
交通インフラが重なる風景はまるで都市の地層のようで、都市をアーカイブする力があると考える。しかし現実は、その景観に嫌悪感を抱く人が多いのが事実である。本提案では、交通インフラの持つ都市のアーカイブ性を建築により顕在化することを目的としている。
敷地は飯田橋駅東口すぐそばの13棟のオフィスビル群である。この場所は、小石川大沼であったところに江戸時代に神田川を作り、隅田川から登ってくる船の終着点として栄え、その後明治時代には飯田町駅が旅客駅として栄えた甲武鉄道(現在の中央線)、昭和時代には東京オリンピックに向けて作られた首都高が通るなどと、3つのインフラが重層し、飯田橋の記憶をアーカイブしている。しかし現在は中層のオフィスビル群が密に並び、その地層に気づく機会はなく、ただの暗い高架下空間となってしまっている。
そこで隣接する13棟のビル群を、この区間を通る計画があった幻の内環状線のランプの軌跡をもとに、一連の型で外壁を抜きボイドを作り、地層を顕在化した。そこへ3つのインフラを動線的に結び、人々をこの地層の博物空間へと誘うような交通結節点の役割を果たす新たな波型のインフラを設け、その道中で視点場を設けることでアーカイブされた風景を眺める空間を作り、また既存ビルのボイド空間にはホテルや美術館などを設け、この新たなインフラからアクセスできるようになっている。このようにして、交通インフラの景観を観光資源として読み替えた、新たな都市観光施設を提案する。
対象地域:
飯田橋三丁目